経営戦略の基盤となるPEST分析の基礎知識と目的を紹介!【frame-7】

こんにちは!チカミチの後藤です。これまで4P分析・3C分析・SWOT分析という、さまざまな分析方法をご紹介してきました。今回は、自分たちのビジネスを行う上で重要な外部環境の分析である「PEST分析」についてお話していきます。

戦略づくりにおいて市場や顧客の動向を探り、企業が置かれている状況を分析することで、取り組むべき課題や戦略の方向性が見えてきます。今回は、マーケティングで行う環境分析の手法について、具体例を挙げながらご紹介していきたいと思います。

PEST分析の目的と意味

PEST分析は、企業を取り巻いている外部の「マクロ環境」の要因を分析する手法です。マクロは巨大という意味を持ちますが、「マクロ環境」という言葉はご存知でしょうか。ざっくり説明すると、組織や企業に何かしらの影響を及ぼす大きな力をまとめた総称です。企業の力が及ばず統制がとれない事柄を指しています。

事業を成功させられるかどうかは、社会の動きによって結果は左右されるため、マクロ環境に常に「依存している」という状態にあります。社会情勢の変化に潜んでいる事業のチャンスやリスクを見つけ出すため、経営戦略を立てるうえで有益な情報を効率的に収集できるのが、このPEST分析なんです。

PEST分析では、「政治的要因(Politics)」「経済的要因(Economy)」「社会的要因(Society)」「技術的要因(Tecgnology)」の視点から分析を行います。この4つの要因で、今起きていることやこれから起き得ることから、事業に影響を及ぼす要因を洗い出していくという方法です。これらのマクロ環境の変化を分析することで、チャンスあるいはリスクを見つけ出すというのがPEST分析の目的というわけです。

それぞれの要因をどのようにして考えていくのか、ひとつずつ具体的に見ていきましょう。

PEST分析の枠となる4つの視点

政治的要因としては、法律の改正や税の改正などに関する動向が分析の対象です。狙っている市場の拡大・縮小に関係する条例の変更は想定されていないか、政府が掲げる政策によって出る影響はないか、などを見ていきます。

2015年の機能性表示食品制度や2020年の個人情報保護法の改正など、競合と争っていくうえで前提となるルールの変更によって、事業にどう響いてくるかを考えるイメージです。規制緩和や条例変更をいち早く要因として捉えて、対応した企業にとってはひとつのチャンスとなる可能性もありますし、反対に把握が遅れてしまった場合はリスクとなってしまいますよね。

次に、景気・雇用・賃金・消費などの経済的要因です。円安や失業率など日本全体の経済動向はもちろん、扱う商材やサービスが属する市場の為替変動も、売上とコストに直結してくる要素ですよね。当然、需要と供給のバランスが変化すれば、価格や購買行動にも影響が出てきます。

同業種の賃金動向、消費者指数なども事業内容に寄らず見逃せない部分です。経済環境の変化を見るには長期的な分析が必要になってきますが、企業の利益を大きく左右するため、しっかりと整理しておきたいところです。

社会的要因は、その名の通り社会全般の動向を指します。世の中の習慣、日常生活の変化に注目して、動きのある事柄からどのような影響を受ける可能性があるかを分析することが重要です。

日本でオリンピック開催が決定した時、世間の消費行動が短期間で大きく変化し、オリンピックによって新たな需要と供給が生まれましたよね。このように、人々のライフスタイルを変えるようなイベントや大会、流行によって起こる変化も、ひとつの社会的要因となります。また、少子高齢化や、人口の減少によって単身世帯が増え続けているといった、人口の変化も社会的要因として分析の対象です。

最後は、技術的要因という視点から分析していきます。主に、技術の進歩やこれまでに無かった革新的な技術が生まれることによって、競合との争いに影響が出てくるかどうかを考えていきます。メーカー独自の製品開発技術などはもちろん、ITを活用したデジタル技術も同様です。

スマートフォンの普及率も高まり、消費者はテレビよりもインターネットのメディアに触れる機会が多くなった現代では、どの業界でもIT・デジタル技術は切っても切り離せないものですよね。AIの進化によって業務改革をはかる企業も増えています。技術の進歩によって、新たな市場が生まれていくことを見据えた分析が必要になってくるのではないでしょうか。

重要なのは戦略の確実さを上げること

ここまでで、それぞれ4つの要因から事業に対してどのような影響が及ぶのかを簡単にご紹介しました。冒頭で、PEST分析の目的は外部環境の変化に潜むチャンスとリスクを見つけ出すことだと言いましたが、そのためにはもう一つ大切な作業があります。

それは、より確度の高い未来の図をいくつか想定していくという作業です。洗い出した要因のそれぞれを見ていくと、そこから近い将来起こり得る事柄が見えてくるはずです。これから先どんな社会に移り変わっていく可能性があるか、収集した情報に基づいて複数の未来予想図を導き出すことができれば、その予想した未来に対する戦略を一つずつ考えていくことができます。そうすればマクロ環境の変化に柔軟に対応でき、複数の戦略をうつことでリスクヘッジにもなりますよね。

4つの視点から外部環境の分析を行うことによって、より精度の高い未来を想定できるのがPEST分析の強みです。企業の経営戦略を立てるための素材として有益な情報になるはずですので、ぜひ参考にしてみてください。

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