こんにちは！チカミチの後藤です。今回は、企業のマーケティング環境を分析する手法として用いられる「3C分析」と「SWOT分析」という手法をご紹介します。自社、顧客、競合企業の3者の関係性から分析する「3C分析」、マーケティング環境をマイナス要因・プラス要因に分けて分析する「SWOT分析」。その概要と考え方を簡単に解説していきたいと思います。
3C分析は、視点となる「市場・顧客（Customer）」「競合（Competitor）」「自社（Company）」の3つの頭文字から名付けられた分析手法です。
では、1つ目の「市場・顧客」から見ていきましょう。事業にとってどのような顧客がいるか、市場の規模はどれくらいなのかを考察していきます。ポイントは、それぞれの変化に注目すること。対象の顧客がどのくらいいてどの程度伸びしろがあるのか、顧客が何を求めていてニーズがどう変わっていくのか、といった今後の成り行きに着目します。
2つ目は「競合」の分析です。競合となる企業が、顧客のニーズにどう対応しているかという点に注目して考察していきます。市場・顧客の分析で得た変化や動向に対して、競合がどう対応しているか、そしてその成果と理由について調査すると、自社が取り組むべき課題が見えてくるはずです。また、どれくらい利益を得ているのか、そのROE（自己資本比率や従業員1人当たりの売上高）も確認する大切なポイントになります。
「市場・顧客」と「競合」の分析によって見えてきた状況から、最後に「自社」の分析を行なっていきます。顧客のニーズとそれに対する競合の動きを踏まえ、現在手を打っている部分と上げられた成果についての振り返り。そして、競合との差別化を図るために取り入れるべき施策や、顧客動向の変化に対して取るべき対応といった今後の課題を考えていきます。
自社分析の段階は、言ってしまえば経営戦略の立案とほぼ等しい作業になります。この自社分析のための手法としてよく用いられる手法が、次に紹介する「SWOT分析」です。自社の弱みと強みを導き出し、戦略立案に役立てていきましょう。
SWOT分析とは、先述した通りマーケティング環境におけるマイナス要因とプラス要因に分けて分析していく手法です。4つの枠組みとなる「強み（Strengths）」「弱み（Weaknesses）」「機会（Opportunities）」「脅威（Threats）」の頭文字からSWOT分析と呼ばれています。
「強み」と「弱み」は自社の内部環境から分析するのに対し、「機会」と「脅威」は外部環境から抽出する要素です。
例えば、自社の「強み」としては「商品開発技術の専門性が高い」「取引先の企業数が多く安定性がある」など、「弱み」としては「原材料輸入先が海外で景気変動に影響を受けやすい」などが挙げられますね。自社の現状はどんな状況か、内部環境を把握するための作業です。一つ肝心なのは、内部環境の要素は、外部からの影響によっては強みにも弱みにもなり得るという点です。そのため、外部環境の「機会」と「脅威」を考察してから内部環境に関する要素を挙げていき、自社の置かれている状況を把握すると望ましいです。
「機会」というのは事業にとって見込めるチャンスなので、需要の拡大や市場の変化などのプラス要因を考えていきます。反対のマイナス要因となる「脅威」とは、自社がマーケティング環境で影響を受ける圧力のことです。競合による代替商品の登場や、業界の景気の低迷など、事業にとって想定されるマイナスの要因をチェックしていきましょう。
4つそれぞれの要素が出揃ったら、その要素同士を掛け合わせて戦略の方向性を検討していきます。
例えば「強み」と「機会」の要素を組み合わせる場合、「自社の強みを活用して、どう機会をものにするか」ということを考えるイメージです。自社の強み・弱みと外部の機会・脅威を組み合わせるこの「クロス分析」によって、売上向上のための戦略立案はもちろん、「弱み」と「脅威」の材料からリスク管理の戦略を打ち立てることもできます。
今回ご紹介した3C分析とSWOT分析は、自社を取り巻く環境の分析によってマーケティング戦略の方針を明確にすることが大きな目的です。各部署から必要な情報を収集したり、意見を交わす場を設けて議論したり、コストと時間がかかるという懸念点もありますが、メリットもきちんとあります。それは、企業として内外環境を改めて一から見直す作業によって、社内の認識統一に繋がるということです。何より、事業にとっての課題が明らかになり、ぼんやりとしていた認識が具体的になるので、強固な戦略立案に役立つことは間違いないですよね。
