こんにちは!チカミチの後藤です。引き続きマーケティングを考えるにあたって必要な分析方法、4P分析について詳しくお話ししていきます。
今回は、4P分析のうち「流通(Place)」における戦略立案を考えていきます。店舗のあり方やお客様の購買行動が変化しているうえ、商品・サービスによっても販路の選択肢が非常に複雑になっているんです。戦略を立てるために知っておきたい、流通経路の基礎知識も含めてご紹介します。
「流通(Place)」の戦略立案では、商品をどう流通させてどこで販売するのが最適かを考えます。これは「チャネル戦略」と呼ばれていて、「チャネル」とは実店舗など商品を売る場所(販売チャネル)、そして商品がお客様に届くまでの流通経路全体(流通チャネル)を指す言葉です。
まずは、販売チャネルにはどのような種類があるのかを見ていきましょう。野菜であれば八百屋、肉なら精肉店・・・のように、売る商品によって区分されるのが小売り店です。そして、商品によらず「どのように売るか」で区分したスーパーやコンビニ、ホームセンターなどの業態別店舗があります。ドラッグストア、百貨店、ディスカウントストアなども同様ですね。
最近では、夜中でもコンビニではなく24時間営業のスーパーで買い物ができたり、ドラッグストアでも野菜や肉、魚などの生鮮食品が購入できたりと、以前よりも業態別の垣根が無くなりつつあります。また、このような実店舗だけではなく、もちろんオンラインストアやECサイトなどのネット通販も1つの選択肢であり、もっと言えばカタログなどの紙媒体やセミナー系のイベントも販売チャネルとして捉えることができます。
このように、時代の変化と共に供給のあり方も変化し、販売チャネルが多様化してきています。どこを選んだらいいのかという判断も、競合との差別化のためにとる対策も難しくなっているというのが実情なのです。このため、チャネル戦略を中長期的な視点で行うには「流通経路全体」から考える必要があるんです。
前述したように、「流通経路全体(流通チャネル)」とは商品がメーカーなどで生産されてから、お客様の元に届くまで辿るルートを指します。商品の特性や顧客ニーズによって経路のパターンをどう選択するか、お客様に商品を届けるためにはどんな流通チャネルが最適かを中長期的に考えるという方法です。
流通チャネルは、「長さ」と「広さ」の2つの視点からどう決めるかを考えていきます。
「長さ」とは、お客様に商品が届くまでにいくつの業者を仲立ちとするかです。業者を挟む数によって、0〜3段階に分けられます。
0段階は、商品のメーカーが直接お客様へ販売するもの。今では企業が商品を小売店に卸すのではなく、自社のサイトで商品を直接販売することが珍しくなくなりましたが、本来はメーカーが専門的な説明をする必要があったり、高価格で供給コストを抑えたりする場合に選択される流通チャネルです。
1段階は、メーカーとお客様の間に小売業者を介すルートです。卸業者へのマージンをなくすというのが大きな目的ですね。2段階、3段階が小売業者と卸業者に介入してもらう経路で、多くのお客様に効率的に購入してもらえるというメリットがあります。
次に、「広さ」から考えるには3つの方法に分けられます。まずは、幅広くお客様に商品を届けることを目的とした「開放型」。流通チャネルを複数用いて、一気に市場拡大を狙う方法です。
開放型と比べて仲介する業者数を絞り込み、自社がコントロールできる範囲に流通させるのが「選択型」。
そして企業ブランドを確立させるためや販売チャネル自体が限定的な場合に用いられ、業者を限定して販売する「排他型」があります。
流通チャネルの段階を増やし、仲介業者の数が多くければ多いほどお客様にとっての購入機会が増えますが、商品の流通自体をコントロールしにくくなるというデメリットが考えられます。反対に、経路を絞って業者の数を減らせばコストが抑えることができ、商品の出回りを自社が意図する範囲内に収めて、購入後のサポートやフォローを行うことが可能です。
しかし、流通チャネルの長さ・広さを限定すればするほど、お客様に商品を届けられる場は当然少なくなりますよね。市場で期待できる収益性や顧客に与えたい商品イメージなどから、自社に適切なチャネルを導き出すことが重要となります。